1. はじめに
1-1. 矯正でよくあるトラブルとは?
スマナビ先生お子さんの歯並びが気になって「矯正」を始めたものの、いざ治療が始まると、「ワイヤーが刺さって痛いって言ってる…」「ブラケット(装置)が壊れたみたい」と、親として不安になる瞬間があるかもしれません。



本当はあまりあって欲しくはないのですが、矯正中のトラブルは“あるある”なんです。特に、マルチブラケットという装置は繊細で、ちょっとした衝撃や生活習慣でワイヤーが飛び出したり、装置が外れたりすることがあります。



心配になりますよね。でも、ご安心ください。ほとんどのトラブルは慌てずに対処すれば大丈夫です。
1-2. トラブル時に親が冷静に対応するために知っておくべきこと
たとえば、ワイヤーが口の中に刺さっている場合は、応急処置で痛みを和らげることができますし、ブラケットが外れたとしても、慌てずに対応可能なことが多いです。
• よくある矯正のトラブルとその原因
• ご家庭でできる応急処置
• 歯医者に連絡すべきタイミング
• トラブルを防ぐための生活の工夫
などを、矯正歯科医の視点でわかりやすく解説していきます。
お子さんの矯正治療を安心して続けるために、ぜひ参考にしてくださいね。
2. ワイヤーが刺さる原因と対処法
2-1. なぜワイヤーが飛び出して刺さるのか?



矯正治療中に多いトラブルのひとつが、ワイヤーが口の中に刺さるというものです。特に装置にまだ慣れていない最初の数ヶ月は、こういったトラブルが起こりやすい傾向があります。
では、なぜワイヤーが飛び出してしまうのでしょうか?主な原因は以下のようなものです:
• 歯が動いたことでワイヤーの余りが後ろにずれた(一番多いケース)
• 食事や歯磨きなどでワイヤーに力が加わってズレた
• ブラケットが外れてワイヤーが固定されなくなった



ワイヤーは細くて硬い金属なので、ちょっとでも飛び出すと頬の内側や唇、舌に刺さって痛みを感じることがあります。お子さんが「口の中がチクチクする」「なんか痛い」と言っていたら、まずこの可能性を疑いましょう。



特に多いのは、歯並びがきれいに治る過程で、ワイヤーが物理的に余ってしまう現象です。 そもそも、でこぼこの歯列にワイヤーを装着する場合、でこぼこ全てをカバーするために長めのワイヤーが必要になります。しかし、でこぼこが治り、真っ直ぐな歯列になるにつれて、そこまで長いワイヤーは必要なくなってしまうため、余ったワイヤー端が飛び出てしまうのです。
2-2. 子どもが「痛い」と言った時、まずやるべきこと
• ワイヤーが明らかに後ろから飛び出していないか
• 頬や唇の内側に赤みや傷ができていないか
• 食事中や会話中に痛がっていないか



痛みが強い場合は、一度歯科医院に連絡するのが基本ですが、すぐに受診できない場合にはご家庭での応急処置がとても役立ちます。
2-3. 応急処置の方法(ワックス・綿棒・ガーゼの使い方)



矯正治療では、専用の「矯正用ワックス」というものがあります。これは刺さって痛い器具に貼り付けることで、刺さるのを一時的に防ぐためのものです。
ワックスの使い方:
1. 手をよく洗う
2. 小さくちぎったワックスを指先で丸める
3. 貼り付けたい部分をティッシュなどでよく拭き、乾燥させる
4. ワックスを押し当ててくっつける



もしワックスが手元にない場合は、ガーゼを挟むなどの工夫も一時的には効果があります。ただし、あくまで一時的な処置なので、なるべく早く歯科医院を受診してくださいね。



ワックス自体にはそれほど強い粘着性はないので、器具を包み込むイメージで貼り付けると、くっつきやすいです。
唾液で濡れていると貼り付きにくいので、しっかりと乾かすのも大切です。
2-4. 歯科医院に行くタイミングと注意点
• ワイヤーが大きく飛び出している
• 出血や強い痛みがある
• お子さんが食事や会話を嫌がっている
• 応急処置でも痛みが取れない



逆に、ワックスなどで一時的に痛みがやわらぎ、お子さんが落ち着いている場合は、数日以内の受診でも問題ないことが多いです。
3. ブラケットが壊れる原因と対処法
3-1. よくある破損の原因(食べ物・外的衝撃・歯ぎしりなど)
マルチブラケット装置のブラケット(歯に接着されている小さな装置)が「取れた」「動いている」「外れた」といったトラブルもよくあります。
その原因としては、以下のようなことが考えられます:
• 硬い食べ物(氷・せんべい・フランスパンなど)を噛んだ
• 粘着質なもの(ガム・キャラメルなど)が装置に引っかかった
• ぶつけた・転んだ・ボールが当たったなどの衝撃
• 寝ている間の歯ぎしりや無意識の噛みしめ
• 噛み合わせや、歯の形態上、装置がしっかりと接着させにくいケースがある



とくに子どもは無意識に装置をいじってしまったり、食べ物の選び方に気をつけられなかったりするため、ブラケットの破損はめずらしいことではありません。
3-2. 壊れた時に取るべき行動とやってはいけないこと
✅やるべきこと:
• まずはお口の中を確認(ブラケットが完全に取れている?動いているだけ?)
• お子さんに痛みがあるかどうか聞く
• 取れたブラケットがあれば捨てずに保管しておく
❌やってはいけないこと:
• 自分で接着しようとする
• 無理に引っ張って外す
• 痛がっていないからといって完全に放置する



ご家庭での無理な処置は、かえってトラブルを悪化させる可能性があります。まずは落ち着いて状況を観察しましょう。
3-3. 歯科医院に連絡する前にチェックしておくべきポイント
• どの歯のブラケットが外れたか(前歯?奥歯?)
• ワイヤーが飛び出したり、動いていないか
• お子さんが痛がっているか、食べにくがっているか
• 破損したブラケットは手元にあるかどうか
3-4. 通院までの過ごし方と応急処置方法
• ブラケットが外れただけで痛みがなければ、そのままでOK
• ワイヤーが動いて当たっている場合は、矯正用ワックスを使って保護
• 食事は柔らかいもの中心にし、装置に負担をかけないように注意しましょう



応急処置をしたうえで、早めに通院の予約を入れてくださいね。たとえ痛みがなくても、放置してしまうと歯の動きに影響が出ることがあります。
4. トラブルを未然に防ぐために親ができること
4-1. 食事・おやつで気をつけるべきもの
❌避けたほうがよい食べ物:
• 氷やせんべい、固いお肉、フランスパンなどの硬いもの
• ガム、キャラメル、グミなどの粘着性のあるお菓子
• トウモロコシやリンゴなど丸ごと噛むと負荷がかかるもの
✅おすすめの食べ方:
• 野菜はやわらかくゆでる
• お肉は小さく切るかミンチにする
• 果物はスライスして出す



「噛むときに力がかかりすぎるもの」は苦手です。また、そこまで硬くなくても、噛みちぎるために力が必要な「たこ」「厚めの肉」などの弾力があるものも苦手ですね。
4-2. 矯正中の口腔ケアと清潔に保つポイント
親子で気をつけたいポイント:
• 歯磨きは1日2〜3回、食後にしっかり
• ワイヤーの下やブラケットのまわりは歯間ブラシやタフトブラシで丁寧に
• 特に夜寝る前は親御さんがチェックしてあげると安心です



汚れがついていると、歯が溶けて虫歯になりやすくなります。また、歯が溶けることで、矯正器具の接着力も低下し、壊れやすくなります。汚れていて良いことは一つもないので、ブラッシングは頑張りましょう!
4-3. 定期的なチェックと子どもとのコミュニケーション
チェックポイント:
• 食べにくそうにしていないか
• 話すときに違和感を訴えていないか
• 頬や口の中をしきりに触っていないか
• 「痛くない?」などの声かけを忘れずに



また、定期的な通院をきちんと守ることで、問題が大きくなる前に予防することができます。
5. よくあるQ&A|矯正中のトラブルに関する親からの質問集
5-1. 学校でトラブルが起きた場合どうする?



学校で「ワイヤーが刺さって痛い」「装置が取れた」といったトラブルが起こることもあります。そんなときのために、事前に先生や保健の先生に伝えておくと安心です。
対応ポイント:
• 応急処置用の矯正用ワックスを学校に持たせる
• 保健室に相談するようお子さんに教えておく
• 学校に事情を伝え、装置の扱いに配慮してもらう(体育や給食の場面など)



万が一のときに備えて、親御さんの連絡先や歯科医院の電話番号をメモしてランドセルに入れておくと安心です。
5-2. 緊急性があるトラブルと様子見でよいケースの違い
「これはすぐに歯医者に行くべき?それとも様子を見ていいの?」と迷うこともありますよね。以下の表を参考にしてください。
| 症状 | 緊急性 | 対応 |
|---|---|---|
| ワイヤーが大きく飛び出し、刺さって出血 | 高い | 応急処置のうえ、すぐ連絡 |
| ブラケットが取れたが痛みなし | 低め | 数日内に受診でOK |
| 装置で口の中に傷ができている | 中 | ワックスなどで保護しつつ、相談 |
| お子さんが食事できないほど痛がる | 高い | できるだけ早く連絡 |
| ワイヤーが少しズレて違和感がある | 低め | 様子見でOK、次回調整時に報告 |
「痛みの程度」「お子さんの様子」「出血の有無」が判断のポイントになります。



矯正中のトラブルは、ほとんどがすぐに大きな問題になるわけではないので、親御さんが落ち着いて対応することが大切です。とはいえ、「判断に迷ったらすぐ相談する」これが一番確実ですよ。
6. まとめ
6-1. トラブルを怖がらずに正しく向き合うために



焦ってしまう気持ちはよくわかりますが、大切なのは冷静に状況を確認し、適切に対応することです。
• ワイヤーが刺さった場合は、矯正用ワックスやガーゼで応急処置を
• ブラケットが壊れた場合は、無理に触らず保管して歯科医院に連絡を
• 日常生活での注意点を守ることで、トラブルの多くは未然に防げる
という基本を押さえておけば、もしもの時にも安心です。
6-2. いざという時に慌てないための親の備えチェックリスト
最後に、矯正トラブルに備えるための「親の準備リスト」をまとめました。ぜひご家庭で参考にしてくださいね。
✅ 矯正用ワックスを常備している
✅ お子さんと「痛みが出た時の対処法」を共有している
✅ 学校にも状況を伝えてある(保健室・担任の先生など)
✅ 緊急時の連絡先をお子さんに持たせている
✅ 食事・おやつの注意点を家族で理解している
✅ 歯みがきやお口のチェックを親子で行っている
✅ 不安なことがあれば、すぐ歯科医院に相談している



「大丈夫かな?」と思った時こそ、一人で悩まず、かかりつけの歯科医に気軽に相談してくださいね。矯正はトラブルも含めて「成長の一部」。一緒に乗り越えて、きれいな歯並びを目指していきましょう!









