1. 開咬とは?まず知っておきたい基本知識
1-1. 開咬とは?どんな歯並びの状態を指すのか

「開咬(かいこう)」とは、奥歯をしっかり噛み合わせても、前歯がかみ合わずに隙間ができてしまう状態のことを指します。食べ物を前歯で噛み切ることが難しく、発音にも影響が出ることがあります。
スマナビ先生例えば、子どもが食事の際に「麺類を前歯で噛み切れない」「サ行やタ行の発音がはっきりしない」といった様子が見られたら、開咬の可能性があるかもしれません。



開咬は自然に治る場合もありますが、舌のクセ(舌癖)や口呼吸などが関係していると、放置すると悪化することもあります。 そのため、原因をしっかり理解し、適切な対策を取ることが大切です。
1-2. 開咬の子どもによく見られる症状と特徴
開咬の子どもには、次のような特徴が見られます。
✅ 前歯で食べ物を噛み切りにくい(例えば、ハンバーガーやサンドイッチをかじるのが苦手、引っ張るとレタスだけビローンとくっついてきちゃう)
✅ 舌を前に突き出すクセがある(飲み込むときに舌を前に押し出す。パッと見では気づきにくいです)
✅ サ行やタ行の発音が不明瞭(たとえば「さかな」が「しゃかな」に聞こえる)
✅ 口がポカンと開いていることが多い(口呼吸の習慣がある)
✅ 指しゃぶりや爪を噛むクセがある(長期間続くと歯並びに影響)



「なんとなく噛みにくそう」「発音が気になる」という場合は、開咬の兆候かもしれません。特に舌のクセ(舌癖)が原因の場合、矯正治療だけでは改善しにくく、舌の動かし方をトレーニングすることが必要になります。
1-3. 開咬を放置するとどうなる?将来的なリスクとは



「前歯が噛み合わないだけなら、大したことないのでは?」と思うかもしれませんが、開咬をそのままにしておくと、以下のような問題が起こる可能性があります。
🔴 食事がしづらくなる
前歯で食べ物を噛み切れないため、食事に時間がかかったり、しっかり噛まずに飲み込んでしまったりし、胃に負担をかけることがあります。
🔴 発音が不明瞭になりやすい
舌癖が原因で開咬になっている場合、正しい発音が難しくなることがあります。特に「サ行」「タ行」が聞き取りにくくなることが多いです。
🔴 口呼吸の習慣がつくことも
開咬の子どもは口が開きやすく、無意識に口呼吸をしてしまうことがあります。口呼吸が続くと、口の中が乾燥しやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
🔴 矯正治療をしても後戻りしやすい
開咬の原因が舌癖にある場合、矯正治療で歯をきれいに並べても、舌のクセが直らないと元の状態に戻ってしまうことがあります。そのため、矯正治療だけでなく、舌癖の改善が重要になります。
2. 舌癖とは?開咬との関係を知ろう
2-1. 舌癖とは?無意識にやってしまうクセの正体
「舌癖(ぜつへき)」とは、舌を正しい位置に置かずに、前歯を押したり、隙間から突き出したりするクセのこと を指します。


本来、舌は上あごの天井部分(口蓋)に軽くくっついているのが理想的な位置です。しかし、舌癖がある子どもは、飲み込むときや話すときに舌を前に突き出したり、下の歯の上に乗せてしまったりします。



舌癖があると、長期間にわたって歯やあごに余計な力が加わり、歯並びに影響を与えてしまいます。その結果、開咬や出っ歯(上顎前突)の原因になることがあります。
2-2. 舌癖が原因で開咬になるメカニズム
舌癖があると、なぜ開咬になってしまうのでしょうか?



それは、舌が前歯を常に押し出す力を加えるためです。
通常、歯は頬や唇の筋肉と、舌の力のバランスの中で並んでいます。しかし、舌癖があると、このバランスが崩れ、次のような影響を及ぼします。
🔹 飲み込むときに舌を前に突き出す → 前歯が前に押し出される
🔹 舌の圧力で前歯が開いたままになる → 噛み合わせが悪くなる(開咬)
🔹 舌が下の前歯に乗るクセがある → 歯が正しい位置に並ばない
つまり、舌癖がある限り、前歯は常に「押し広げられる力」を受け続ける ため、矯正治療をしても後戻りしやすくなります。
2-3. うちの子は大丈夫?舌癖のセルフチェック方法
✅ 食べ物を飲み込むときに舌が前に出る(食事中によく観察してみましょう)
✅ 普段から口がポカンと開いていることが多い
✅ 発音が不明瞭で、サ行・タ行が聞き取りにくい
✅ 前歯の間から舌を出すクセがある(しゃべっている時によーく口元を観察してください)
✅ 指しゃぶりや爪を噛むクセがある(過去に長期間やっていた場合も含む)
✅ 寝るときに舌が下の歯の上に乗っている
これらの項目に2つ以上当てはまる場合、舌癖がある可能性が高いです。
3. 子どもの開咬を改善するためにできること
3-1. 矯正治療だけではダメ?開咬治療の基本的な流れ



開咬の治療には、一般的に歯列矯正(ワイヤー矯正やマウスピース矯正など)が行われます。しかし、舌癖があると、矯正だけでは十分に治らないことがあります。
開咬の治療は、大きく3つのステップで進めていきます。
① 舌癖を改善するトレーニング(MFT)を行う
舌のクセが原因で開咬になっている場合、まずは「MFT(口腔筋機能療法)」と呼ばれるトレーニングで、舌の正しい使い方を身につけます。これにより、矯正治療後に自ら歯列を乱してしまわないようにします。
② 矯正治療で歯並びを整える
ワイヤー矯正やマウスピース矯正を使って、開いてしまった前歯を閉じ、噛み合わせを正しくしていきます。①のMFTを行うだけでも歯列が自然と良くなるひともいます。
③ 矯正後のメンテナンスを行う(リテーナー+舌癖管理)
矯正が終わった後も、リテーナー(保定装置)を使って歯並びを安定させます。また、舌癖が残っていないかチェックし、正しい舌の使い方をキープすることが大切です。
3-2. 舌癖を改善するトレーニング方法【親子でできる簡単エクササイズ】
舌癖を改善するためには、毎日のトレーニングが効果的です。ここでは、家庭でできる簡単なエクササイズを紹介します。
① ポッピングトレーニング(舌を正しい位置にキープする筋力が足りない人におすすめ)
やり方:
1. 舌先を上あごの「スポット」(前歯のすぐ裏の少しくぼんだ部分)に置く
2. 舌全体を上あごに吸いつけるようにし、その状態から「ポンッ」とはじく
3. これを1日10回×3セット行う
✅ ポイント: 舌の位置を正しく覚え、吸いつけ動作による筋力アップを目指します。
② つばを飲み込む練習(飲み込み時に舌で歯を押してしまう人におすすめ)
やり方:
1. 舌をスポットに置く
2. 歯を軽く閉じたまま、唇を閉じてつばを飲み込む
3. このとき、舌が前に出ないように意識する
✅ ポイント: 舌が前に出るクセをなくし、正しい飲み込み方を身につけるのが目的です。
③ ストロー吸いトレーニング(口周りの筋肉が足りない人におすすめ)
やり方:
1. ストローを使って水を吸い、コップからストローを離しても水が口の中に残るようにする
2. そのまま舌をスポットに当てて、ゆっくり飲み込む
✅ ポイント: 舌の正しい位置を意識しながら飲み込むことで、舌癖の改善につながります。



これらはMFTの本当に一部のトレーニングです。どういう部分に効果があるのか意識しながらトレーニングすることで、効果がより期待できます。
3-3. 日常生活で気をつけるべき習慣(食べ方・話し方・寝る姿勢)



舌癖を防ぎ、開咬を悪化させないためには、日常生活の中で気をつけるべきポイントがあります。
① 食べ方に気をつける
• 前歯でしっかり噛みちぎる習慣をつける(前歯や口唇をちゃんと使う)
• 口を閉じて食べる練習をする(くちゃくちゃ音を立てないようにする)
• ストローを使って飲むとき、舌で押し出さないようにする(ストロー飲みは低位舌になりやすいのでおすすめしません)
② 話し方を意識する
• 発音の練習をする(サ行・タ行)
• 舌を前歯に押しつけないように話す練習をする
③ 寝るときの姿勢を整える
• 口を開けたまま寝ないようにする(口呼吸を防ぐ)
• 横向き寝やうつ伏せ寝を避ける(あごの成長に影響することがある)
4. 開咬矯正のタイミングと治療法の選び方
4-1. 何歳から矯正すればいい?年齢別の治療方針



「子どもの開咬に気づいたけど、何歳から矯正を始めるべき?」という疑問を持つ親御さんは多いです。開咬の治療は、子どもの成長に合わせた適切なタイミングで行うことが大切です。
✅ 3~5歳(乳歯期)
この時期は、まだ顎の成長が盛んなため、開咬が自然に改善することもあります。ただし、指しゃぶりや舌癖が続いていると、開咬が悪化するリスクがあるため、生活習慣の改善を意識しましょう。
【この時期にできること】
• 指しゃぶりやおしゃぶりの卒業を促す
• 舌癖がある場合は、簡単なトレーニングを始める
✅ 6~9歳(混合歯列期)
乳歯から永久歯に生え変わる時期です。開咬が自然に治らない場合、このタイミングで舌癖の改善や矯正治療の準備を始めるのが理想的です。
【この時期にできること】
• MFT(口腔筋機能療法)で舌癖を改善する
• 必要に応じて、マウスピース型の装置で舌のクセを矯正
✅ 10~14歳(永久歯列完成期)
永久歯が生えそろい、顎の成長が続く時期です。開咬が進行している場合、本格的な矯正治療を検討する必要があります。
【この時期にできること】
• ワイヤー矯正やマウスピース矯正を検討する
• 舌癖の改善を並行して行い、後戻りを防ぐ


4-2. 舌癖がある場合の矯正方法と治療のポイント



開咬の治療には、さまざまな方法がありますが、舌癖がある場合は、矯正治療と舌のトレーニングを並行して行うことが重要 です。
① MFT(舌癖トレーニング)
矯正治療と同時にMFTを行うことで、舌の正しい動きを習得し、開咬の再発を防ぐ ことができます。
② マウスピース矯正(インビザライン・プレオルソなど)
取り外し可能なマウスピースを使い、歯並びを整えます。舌のクセを改善する特殊な設計の装置もあり、矯正と舌癖トレーニングを同時に進めやすい です。
③ ワイヤー矯正(ブラケット矯正)
金属や透明のブラケットを使い、ワイヤーで歯を動かします。開咬が重度の場合に適しており、細かい歯の調整が可能 です。
④ 外科矯正(成長が終わった後の選択肢)
顎の骨格的な問題がある場合、大人になってから外科手術を伴う矯正治療が必要になることもあります。ただし、子どものうちに適切な矯正を行えば、手術を避けられる可能性もある ため、早めの対応が大切です。
4-3. 矯正後に後戻りしないための予防策とは
矯正治療が終わった後も、開咬が再発しないようにするためには、以下のポイントに注意しましょう。
✅ リテーナー(保定装置)を正しく使う
矯正治療が終わった後は、リテーナーを装着して歯の位置を安定させる ことが重要です。
✅ 舌癖トレーニングを継続する
矯正が終わった後も、舌の正しい位置をキープできるように、定期的にMFTを行う のがおすすめです。
✅ 口呼吸を改善する
口呼吸のクセがあると、舌の位置が安定せず、開咬の再発につながることがあります。鼻呼吸の習慣を身につける ことが大切です。
✅ 定期的に歯科医院でチェックを受ける
矯正が終わった後も、定期的に歯科医院でチェックを受けることで、開咬の再発を防ぐことができます。


5. まとめ:子どもの開咬を防ぐために今日からできること
これまで、開咬の原因や治療方法、舌癖の改善法について詳しく解説してきました。最後に、この記事の内容を振り返りながら、今日からできる対策をまとめます。
5-1. 舌癖と開咬の関係を理解し、早めの対策を!
✅ 開咬は、前歯が噛み合わず隙間ができる歯並びのこと
✅ 舌癖(舌を前に突き出すクセ)が原因で、開咬になることが多い
✅ 開咬を放置すると、食事や発音、口呼吸などに悪影響を及ぼす



誤学習といって、誤った噛み方や喋り方が身についてしまうと、後から上書きするのが大変になります。
→「なんとなく前歯が噛みにくそう」「サ行やタ行の発音が気になる」と感じたら、早めに歯科医院で相談を!
5-2. 矯正治療+舌癖改善が成功のカギ
✅ 矯正治療だけでは、舌癖があると後戻りしやすい
✅ MFT(舌癖トレーニング)を取り入れると、矯正効果が高まる



「矯正をすれば治る」と思わず、舌の使い方も一緒に改善することが大切です。
5-3. 親ができるサポートで子どもの歯並びを守ろう
✅ 毎日の生活の中で、舌のクセをチェックする
✅ 舌癖を改善するための簡単なトレーニングを取り入れる
✅ 食べ方・話し方・寝る姿勢を意識することで、開咬のリスクを減らせる



今日からできる具体的な対策
• 舌を上あごにつける練習(ポッピングトレーニング)をする
• 食事のとき、口を閉じてしっかり噛むように促す
• 口呼吸ではなく鼻呼吸を意識させる
• 寝る姿勢を見直し、横向き寝やうつ伏せ寝を避ける
→ 生活習慣を少しずつ改善することで、開咬の進行を防ぐことができる!
おわりに:子どもの未来のために、今できることを始めよう!



開咬は、舌のクセや生活習慣が大きく影響するため、親のサポートがとても重要 です。矯正が必要になるかどうかに関わらず、まずは舌癖のチェックをし、正しい舌の使い方を意識することから始めてみましょう。



もし「開咬かもしれない」「矯正をするべきか迷っている」と感じたら、早めに歯科医院に相談することをおすすめします。適切な治療とトレーニングを取り入れることで、子どもの健康な歯並びを守ることができます!










