うちの子に必要?上顎前方牽引が向いているケースと向かないケース

お子さんの受け口(反対咬合)が気になり、矯正治療を検討している親御さんは多いと思います。「矯正が必要なの?」「どんな治療をするの?」「上顎前方牽引ってどんな装置?」と、不安や疑問を抱えていませんか?

スマナビ先生

今回は、上顎前方牽引(フェイスマスク・フェイシャルマスク)について、わかりやすく解説します。お子さんに必要かどうかを判断する参考にしてくださいね!


目次

1. 上顎前方牽引とは

1-1. 上顎前方牽引の概要

上顎前方牽引(フェイシャルマスク)とは、上顎の成長を前方へ促すための矯正装置です。

スマナビ先生

受け口(反対咬合)の子どものなかには、上顎の骨格的な成長が遅れていることが原因の場合があります。成長期にこの装置を使用すると、上顎を正しい位置に導き、理想的な骨格に近づけることができます。

上顎前方牽引の特徴

✅ 成長期の子どもに効果的(5〜10歳)

✅ 1日10時間程度の装着が推奨される

✅ 顎の成長をコントロールできるため、外科手術を避けられる場合もある

スマナビ先生

上顎前方牽引は、上顎骨が成長している時期に治療を始めることが重要です。「まだ様子を見ようかな…」と思っているうちに治療適齢期を逃してしまうこともあるため、早めの相談がカギになります!


1-2. 受け口の原因と上顎前方牽引の役割

受け口(反対咬合)の原因は、大きく分けて3つあります。

① 上顎の成長不足(骨格性反対咬合) → 上顎前方牽引が有効

• 上顎が十分に成長せず、下顎が相対的に大きく見える状態

• 顔がしゃくれて見えることがある

• 上顎前方牽引で上顎の成長を促せるため、適応になることが多い

② 下顎の過成長(骨格性反対咬合) → 場合によっては手術が必要

• 下顎の成長が過剰で、上顎とのバランスが崩れている

• 上顎前方牽引だけでは治せないことがあり、成長が進んだ後に外科矯正が必要になるケースも

③ 歯の位置の問題(歯性反対咬合) → ワイヤー矯正やマウスピース矯正で改善

• 骨格の問題ではなく、歯が通常と逆に噛み合っているだけのケース

• 上顎前方牽引などの骨格治療ではなく、ブラケット矯正やマウスピース矯正で改善可能

スマナビ先生

上顎前方牽引は、「上顎の成長が足りないタイプの受け口」には特に効果的 です。一方で、下顎の過成長が原因の場合や歯の生え方の問題のみの場合は、別の矯正方法が適していることもあります。


2. 上顎前方牽引装置の取り外し

上顎前方牽引には、大きく分けて取り外しできる部分とできない部分の2種類の装置が必要になります。

2-1. 取り外しできる装置(フェイシャルマスク

特徴

✅ 自宅で主に使用し、日中は外せる

✅ 就寝時を中心に1日10時間の装着が必要

✅ 装着の習慣化が必要(慣れるまで時間がかかることも)

• 顔に装着し、ゴムを使って上顎を前に引っ張る

スマナビ先生

上顎前方牽引するためのメイン装置になります。使用時間を守らないと効果が出にくいため、親御さんのサポートが重要です。


2-2. 取り外しできない装置(口腔内装置)

特徴

✅ 24時間装着されている

✅ 本人の装着忘れがない

✅ 食事や歯磨きの際に注意が必要

代表的な装置:「ホールディングアーチ」「リンガルアーチ」「急速拡大装置(RPE)」

• 上顎を前方牽引するためのゴムをひっかける場所として、口腔内に装着する

スマナビ先生

固定式は、食事の際の注意や歯磨きのケアが必要になります。


3. 治療の適応年齢と効果

3-1. 適応年齢と成長期の重要性

上顎前方牽引の治療は、5歳~10歳ごろの成長期が適齢期 です。

特に6歳~8歳で開始すると、より効果的 だと言われています。これは、上顎の成長を促せる時期が限られているためです。10歳を過ぎると成長のピークを逃し、治療の効果が出にくくなることがあります。

はるか先生

上顎と下顎では、成長する時期が異なります。もし「受け口が気になるけど、まだ様子を見たほうがいいの?」と悩んでいる場合は、できるだけ早く歯科医師に相談しましょう! 


3-2. 治療期間と効果の現れ方

上顎前方牽引の治療期間は、一般的に1~2年程度です。

しかし、使用時間を守らないと効果が出るまで時間がかかることもあります。装置を正しく使用すれば、6ヶ月~1年ほどで変化が見られることが多いです。


4. 上顎前方牽引が向いているケース

上顎前方牽引は、特定のタイプの受け口に効果があります。以下のケースに当てはまるお子さんには、この治療が適している可能性が高いです。

✅ ① 上顎の成長が遅れている(上顎劣成長タイプ)

• 受け口の原因が 「上顎の成長不足」 にある場合、上顎前方牽引で成長を促すことができます。

• 横顔を横から見たときに、上顎が後ろに下がって見える 子が多いです。

✅ ② 5歳~10歳の成長期の子供

• 上顎前方牽引は、成長を利用する治療のため、成長期でないと効果が期待できません。

• 特に 6~8歳で始めると効果が高い です。

✅ ③ 軽度~中等度の受け口

• 受け口の程度が軽い場合、上顎前方牽引だけで改善することが多いです。

• 重度の場合は、他の矯正装置や将来的な外科矯正が必要になることも。

✅ ④ 家庭で装置をしっかり使える

• 上顎前方牽引は、1日10~12時間以上の装着が必要 です。

• 夜間を中心に装着するため、装置を嫌がらずに使えるかどうか も重要なポイント。


5. 上顎前方牽引が向いていないケース

すべての受け口の子供に上顎前方牽引が適応するわけではありません。次のようなケースでは、別の治療方法を検討する必要があります。

❌ ① 下顎の成長が過剰(下顎過成長タイプ)

• 下顎の成長が原因の受け口の場合、上顎前方牽引では改善が難しい ことがあります。

• こうしたケースでは、成長が完了した後に外科矯正(手術)が必要になる可能性 があります。

❌ ② 10歳以上で成長のピークを過ぎている

• 上顎の成長がある程度進んでしまうと、上顎前方牽引の効果が出にくくなります。

• 10歳を超えると、別の治療法(ワイヤー矯正、外科矯正など)を検討することが多くなります。

❌ ③ 受け口の原因が歯の位置にある(歯性反対咬合)

• 骨格の問題ではなく、歯の傾きによる受け口の場合、上顎前方牽引は不要です。

• ブラケット矯正(ワイヤー矯正)やマウスピース矯正 のほうが適しています。

❌ ④ 装置の装着が難しい

• 上顎前方牽引は長時間装着しないと効果が得られません。

• 「子どもが装置を嫌がってつけられない」「生活に支障が出る」場合は、別の治療法を選択することもあります。


6. 装置の使用方法と注意点

上顎前方牽引の治療を受ける場合、正しい使い方を守ることが成功のカギ になります。ここでは、装置の装着方法や日常生活での注意点を解説します!


6-1. 装置の装着方法と使用時間

✅ 1日10~12時間以上の装着が必要

• 主に 夜間(寝るとき)+自宅で過ごす時間 に装着します。

✅ フェイシャルマスクの装着方法

1. 装置を顔に固定し、ゴムバンドをかける

2. ゴムの力で上顎を前方に引っ張る

✅ 装着し始めは違和感があるが、慣れる

• 最初の1週間は違和感や軽い痛みを感じることがありますが、徐々に慣れてきます。

• どうしても痛みが強い場合は、歯科医と相談してゴムの力を調整 しましょう。


6-2. 日常生活での注意点とケア方法

✅ 食事のときは外してOK

• 上顎前方牽引装置は食事中に外して問題ありません。

• 固定式の装置は、硬いものを避ける・装置の周りを丁寧に磨く ことが大切。

✅ 装置の清潔を保つ

• フェイシャルマスクは、毎日軽く拭いて清潔に保ちましょう。

• 口腔内に装着する部分は、食後にブラッシングし、むし歯予防も忘れずに!

✅ 定期的なチェックを受ける

• 1ヶ月に1回程度、歯科医院で経過を確認 してもらいましょう。

• 装置の調整が必要な場合もあるため、定期的な受診が重要です。



7. 治療のメリットとデメリット

スマナビ先生

上顎前方牽引には、受け口を改善するための多くのメリットがありますが、一方で気をつけるべき点もあります。ここでは、治療のメリットとデメリット を整理してご紹介します。


7-1. メリット:受け口の改善と将来的な効果

✅ ① 成長期に上顎の発育を促し、受け口を根本から改善できる

• 受け口の原因が 「上顎の成長不足」 の場合、上顎前方牽引を行うことで 自然な成長を促し、正常なかみ合わせに導くことが可能 です。

• 成長が止まってしまうと治療が難しくなるため、「手術をせずに治せる可能性がある」のは大きなメリットです。

✅ ② 顎のバランスを整え、将来の外科矯正を回避できる可能性がある

• 小さいうちに適切な治療を行えば、将来的に外科矯正(顎の手術)が不要になる可能性が高くなります。

• 成長期を逃すと、手術が必要になることもあるため、早めの治療がカギ!

✅ ③ 永久歯の抜歯を回避できる可能性がある

• 受け口の治療をせずに大人になると、矯正治療の際に 小臼歯(4番目の歯など)を抜歯しなければならないケース もあります。

• 上顎前方牽引を適切な時期に行うことで 抜歯を避けることができる可能性 があります。

✅ ④ 横顔のバランスが良くなり、見た目の改善にもつながる

• 上顎が後退していると、横顔のバランスが崩れ、「顎がしゃくれている」「口元が引っ込んでいる」ように見えることがあります。

✅ ⑤ かみ合わせが整い、食事や発音のしやすさが向上する

• 受け口のままだと、発音しづらい音があったり、前歯で食べ物をうまく噛み切れなかったりすることもあります。

• 治療をすることで、発音や食事のしやすさが改善 されることがあります。


7-2. デメリット:装置の不快感や副作用の可能性

上顎前方牽引には多くのメリットがありますが、一方で以下のようなデメリットも考えられます。

❌ ① 装置の違和感や痛みがある

• 最初のうちは、装置をつけることに 違和感や軽い痛み を感じるお子さんもいます。

• 特に、ゴムの力で上顎を引っ張るため、装着初期は歯や顎に圧力を感じることがあります。

• ただし、ほとんどのお子さんは1〜2週間ほどで慣れることが多いです。

❌ ② 1日10時間以上の装着が必要(継続が大変)

• 1日10〜12時間以上の装着が必要 なので、就寝時+自宅で過ごす時間 に装着しなければなりません。

• 装着時間を守らないと、十分な効果が得られない ため、親御さんのサポートが重要です。

❌ ③ 学校での装着は難しい

• 学校でつける必要はありませんが、長時間の装着が求められるため、生活習慣を変える必要があることも。

❌ ④ 一部のケースでは効果が出にくい

• 下顎の成長が過剰なタイプの受け口 には効果が期待できないことがあります。

• 成長が進んでいる年齢(10歳以上)では、治療の効果が出にくいこともあるため、早期の診断が重要です!


8. 治療費用と保険適用について


8-1. 治療にかかる費用の目安

上顎前方牽引の治療費は、歯科医院や治療の内容によって異なります が、一般的な費用の目安 をご紹介します。

✅ 初診・検査料:3万〜5万円

✅ 上顎前方牽引装置の費用:10万〜30万円

✅ 月々の調整料:3,000円〜5,000円(毎月)

スマナビ先生

トータルの治療費は、15万円〜50万円程度 になることが多いです。治療費は歯科医院ごとに異なるので、しっかり確認が必要です。

はるか先生

ただし、保険適用が可能なケース もあるため、次の項目をチェックしてみましょう!


8-2. 保険適用の条件と手続き

上顎前方牽引の治療が保険適用になるかどうか は、以下の条件によって決まります。

✅ 保険適用となるケース

• 顎変形症(重度の骨格的な受け口)と診断された場合

• 厚生労働省が指定する「顎口腔機能診断施設」に認定されている矯正歯科で治療を受ける場合

✅ 保険適用とならないケース

• 軽度の受け口や見た目の改善が目的の場合

• 一般的な歯科医院で治療を受ける場合(自由診療になることが多い)


9. 治療後のフォローアップ

上顎前方牽引の治療が完了した後も、適切なフォローアップを続けることが大切 です。治療後に放置してしまうと、せっかく整えた歯並びが元に戻る(後戻り)可能性もあります。

9-1. 定期検診の重要性

✅ 治療が終わっても、しばらくは定期検診を続けることが大切!

• 上顎前方牽引の治療が完了した後も、骨の成長や歯並びの変化を確認するために、3~6ヶ月ごとの定期検診が推奨されます。

• 特に、成長期が終わるまでは、かみ合わせのチェックが重要 になります。

✅ 定期検診では何をするの?

• かみ合わせの確認

• 成長の進行チェック

• 後戻りの有無の確認


10. よくある質問と回答


10-1. 装置の痛みや違和感について

Q1. 上顎前方牽引の装置は痛いですか?

A. 最初の1週間ほどは違和感や軽い痛みを感じることがあります。

• ゴムの力で上顎を前に引っ張るため、最初は歯や顎に圧力を感じる ことがあります。

• ただし、ほとんどの子どもは1~2週間ほどで慣れる ので、心配はいりません。

Q2. 痛みが強い場合、どうしたらいい?

A. まずはゴムの強さを調整してもらいましょう。

• 矯正歯科医に相談し、ゴムの力を少し弱めることで痛みを軽減できます。

• 痛みが続く場合は、装置の調整が必要 なこともあるため、歯科医院で相談してみてください。


10-2. 食事や運動時の注意点

Q3. 食事のときはどうすればいいですか?

A. 食事の際は、装置を外してOKです!

• 食事のときに外して問題ありません。

• 固定式の装置を使用している場合は、硬いもの(ナッツ、フランスパンなど)を避ける のがおすすめです。

Q4. スポーツをしても大丈夫ですか?

A. 基本的には大丈夫ですが、激しい接触スポーツは注意が必要です。

• サッカーやバスケットボールなど、顔に衝撃が加わる可能性があるスポーツでは注意が必要 です。

• ボクシングやラグビーなどのコンタクトスポーツは、装置が破損するリスクがあるため、事前に歯科医に相談しましょう。


10-3. 学校生活への影響と対処法

Q5. 学校では装置をつけたまま?

A. フェイシャルマスクは基本的に「夜間のみの装着」なので、学校でつける必要はありません!

• フェイシャルマスクは、学校では外してOK。口腔内装置は装着したままになります。

• ただし、学校帰宅後の自宅時間も活用して、1日10時間以上の装着時間を確保することが大切 です。

Q6. 友達にからかわれないか心配…

A. フェイシャルマスクは学校でつける必要はないので、見た目を気にすることはありません!

• 夜間だけの装着なので、友達に見られる心配はほとんどありません。口腔内装置は歯の裏側に隠れるので目立ちません。

はるか先生

お子さんが「装置をつけるのが嫌」と感じている場合は、「将来のきれいな歯並びのために頑張ろう!」と励ましてあげるのも大切です。


まとめ

上顎前方牽引の治療が完了した後も、定期検診やリテーナーの使用を継続することで、より良い治療結果を維持できます。

また、痛みや違和感、学校生活での影響など、気になるポイントも事前に知っておくことで、安心して治療に取り組むことができます!

スマナビ先生

うちの子にこの治療が必要なのかな?」と感じたら、まずは矯正専門医に相談してみるのがおすすめ です。お子さんの未来の健康的な歯並びのために、今できることを一緒に考えていきましょう! 😊✨

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この記事を書いた歯科医師

略歴:
国立大学歯学部卒業
国立大学大学院卒業
歯学博士取得
日本矯正歯科学会認定医取得
矯正歯科医として10年以上にわたり矯正治療に携わる。現在も現役の歯科医師として診療に従事

このサイトでは、矯正治療に関する正しい知識をわかりやすく解説し、矯正治療を検討中の方、治療中の方、その保護者の方の不安を少しでも軽減できるよう努めています。矯正治療の流れや費用、治療の選び方など、疑問や不安に寄り添いながら詳しくお伝えしていきます。

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